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「住む」を決めるのは家賃ではなかった。エリア別に見えた意外な事実

― 1都3県の25〜35歳・800人を対象に実施した独自調査から、エリア別・所得別の賃貸選びの実態を分析 ―

賃貸物件を探す際、多くの人がまず気にするのは家賃です。そして間取りや立地も、住まい選びの基本条件として欠かせない要素でしょう。しかし今回の調査では、「住みたい部屋」を決定する要因は、それだけではないことが明らかになりました。一般的に住まい選びでは、家賃や広さを軸に、通勤時間や生活利便性、街の雰囲気、治安、将来設計などを総合的に比較します。そして重視するポイントは、住みたいエリアや所得水準によって大きく異なります。本記事では、1都3県に住む若年層のデータをもとに、エリア別・所得別に見た賃貸住宅選びの特徴と、そこから見えてきた新しい価値観を解説します。

まずは調査概要|800人の「住まい選び」を分析

若者スタイル研究室では2026年7月に1都3県の賃貸住宅に住む若者を対象に住まい・建物、経済・金銭感覚についてアンケートを実施しました。

  • 調査方法:インターネット
  • 調査時期:2026年7月16日
  • 調査対象:賃貸に住む25~35際の未婚の男女
  • 調査エリア:1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)
(図1)回答者属性(性別・年代別割合)
(図2)回答者属性(居住地別割合)

家賃重視は本当に多数派なのか?

理想の住まい選びで最も重視するものとは

まず、「家賃・広さ・立地」以外で重視するポイントについて調査しました(複数回答、最大5項目)。

(図3)「家賃・広さ・立地」以外で賃貸に重視するポイント

住まい選びにおいて、家賃・広さ・立地が重要であることは間違いありません。しかし今回の調査では、若者にとってそれらは「選択基準」というよりも、まず満たすべき「前提条件」であることが見えてきました。

では、その条件をクリアした後、人々は何を重視するのでしょうか。

最も多く選ばれたのは、「生活利便性」でした。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの利用しやすさは、性別や年代を問わず最上位に位置しています。

前回の「ミニマル志向」に関する調査でも見られたように、現在の若者は「部屋の中にすべてを持つ」発想ではなく、「自分の部屋+街全体」を生活空間として捉える傾向があります。今回の結果は、その価値観を裏付けるデータといえるでしょう。

また、日当たりや風通し、周辺環境の静けさなども高く評価されていました。宅配ボックスや高速インターネットといった設備以上に、「光」「風」「静けさ」といった住環境そのものを重視する傾向が見られます。これは、モノや設備の豊かさよりも、日常の快適さや心地よさに価値を感じるライフスタイルが定着しつつあることを示しています。

男女で異なる住まいへの価値観、性別による違いも明確に表れました。男性は設備へのこだわりが比較的低く、立地や利便性、家賃とのバランスを優先する傾向があります。一方で女性は、水回り設備や防犯面への関心が高く、独立洗面台やオートロック、宅配ボックスなどを重視する割合が男性を上回りました。

女性は「暮らしやすさ」や「安心感」に付加価値を感じる一方、男性は「最低限住めればよい」「まずは立地と家賃」という合理的な考え方を持つ層が一定数存在していると考えられます。

実際に、「特に重視するものはない」という回答は男性が女性の約1.4倍となっていました。

二人暮らしで高まる設備ニーズ

また、二人暮らしになると設備への関心が高まる傾向も見られました。

一人暮らしでは自分だけで利用していた設備が、共同利用になることで使い勝手やストレスへの意識が高まるためと考えられます。

特に独立洗面台へのニーズは大きく上昇しており、朝の身支度時間を快適に過ごしたいという現実的な要望が反映されているようです。

エリアによって「住みたい理由」が全く違った

次に同じ設問を東京23区内(エリア別)に分類。その結果、エリア毎に住みたい理由が明らかになってきました。

(図4)エリア毎の住みたい理由

都心エリア

特徴:高い項目 在宅ワーク・勉強スペース:27.0%(全体5.4%) 低い項目 生活利便性:27.0%(全体40.5%)

都心部では、もともと利便性が高いため、それを改めて重視する必要がないと考える人が多いようです。代わりに、自宅で働ける環境やデザイン性、ペット飼育のしやすさなど、ライフスタイルに関わる要素への関心が高くなっています。利便性よりも時間価値や自己実現を重視する傾向が特徴的なエリアです。

城南エリア

特徴:高い項目 セキュリティ:38.6%(全体23.4%) 低い項目 収納:9.1%

城南エリアでは、防犯面への意識が際立っています。オートロックや防犯カメラへの関心は全エリア中で最も高く、宅配ボックスや管理品質なども高評価でした。利便性だけでなく、安心して暮らせる上質な住環境を求める「ハイグレードマンション志向」が強いエリアといえます。

城西エリア

特徴:高い項目 生活利便性:46.2% 低い項目 デザイン性:4.7%

城西エリアは非常にバランス志向が強い地域です。買い物環境、水回り設備、収納、キッチンなど、毎日の暮らしやすさに関する項目が高く評価されました。ファミリー層や実需層が多く、実用性を重視した住まい選びが特徴です。大学も多く、若年層にとっても生活しやすい環境が整っています。

城北エリア

特徴:高い項目 生活利便性:53.8%(全エリア最高) 低い項目 デザイン性:5.0%

城北エリアは、「暮らしやすさ」を最も重視する地域でした。買い物環境や静かな住宅地、快適な住環境への評価が高く、コストと生活品質のバランスを求める傾向が強く見られます。都内に住みながらも住宅コストを抑えたいというニーズが反映された結果といえるでしょう。

城東エリア

特徴:高い項目 宅配ボックス:21.8%(全体13.8%) 低い項目 周辺環境の静かさ:5.5%(全体16.4%)

城東エリアでは、宅配ボックスや無料インターネットなど、設備面への関心が高くなっています。比較的新しいマンションの供給が多いことも背景にあり、「静かさ」よりも「設備とコストパフォーマンス」を重視する実利志向が特徴です。

家賃と年収と関係性はエリアによって変わるのか?

エリアごとに現在の家賃、年収、家賃負担率を分析すると、地域ごとの居住実態がより鮮明になりました。

(図5)エリア毎の家賃、年収、家賃負担率

都心エリア

特徴① 高家賃層が突出

10万円以上の家賃割合が54.0%(全体16.1%)特に10~12万円未満が24.3%で全エリア最高⇒ 都内でも最も住宅コストが高いエリアです。

特徴② 高年収層が多い

700万円以上が29.7%(全体9.2%) 800万円以上も13.5% ⇒ 高所得者の集中が見られます。

特徴③ 年収に対しても家賃水準が高い

高所得者が多いだけでなく、家賃帯の上昇幅がさらに大きい⇒「収入が高いから住んでいる」というより、「高収入でないと住みにくいエリア」といえるかもしれません。

城東エリア(江東区・台東区・墨田区・葛飾区・江戸川区)

特徴① 家賃分布が幅広い

6~7万円未満(18.2%)9~12万円未満(29.0%)⇒ 中低家賃から中高家賃まで幅広く分布しています。

特徴② 年収水準は比較的高め

700万円以上が20.0% 800万円以上も10.9% ⇒ 想像以上に高所得層が含まれている。ベイエリアが底上げしているのかもしれません。

特徴③ コストパフォーマンスが高い

都心ほど家賃は高くないが高年収層も一定数存在⇒ 職住近接を維持しつつ都心より住居費を抑えることが選択肢になっているかもしれません。

城西エリア(渋谷区・新宿区・世田谷区・中野区・杉並区・練馬区)

特徴① 8~9万円未満が最多

19.8%で全エリア最高でした ⇒ 中価格帯家賃のボリュームゾーン。

特徴② 年収300~400万円層が多い

~300万 20.8%、300~400万円23.6% 400万円未満が44.4% ⇒ 若年層・単身層の多さがうかがえます。

特徴③ 所得に対して家賃負担が高め

年収はそれほど高くない一方で家賃は中~高水準 ⇒ 人気エリアゆえに、若年層でも住宅費を優先して住んでいる構図がうかがえます。

城南エリア(品川区・目黒区・大田区)

特徴① 9~10万円未満が突出

22.7%で全エリア最高でした ⇒ 家賃相場は都心に次ぐ水準。

特徴② 年収構成が均衡

300~700万円が幅広く分散 特定階層への偏りが少ない ⇒ 職業やライフスタイルの多様性が特徴です。

特徴③ 家賃水準に対して超高所得層は少ない

年収800万円以上は6.9% ⇒ 都心部とは異なり、住環境を重視する中間所得層が中心となっています。

意外な発見

①高所得者ほど家賃を気にしないわけではない

高所得層も家賃を重視している。ただし、「安さ」ではなく 「払う価値があるか」を判断基準にしていることが特徴です。

②住みたい街と実際に住む街は違う

「憧れだけでは選ばない」「通勤」「家賃」「ライフステージ」が意思決定(暮らす街)を左右しています。

③「家賃」ではなく「暮らしの総合点」で選ばれている。

現代の住まい選びは、「安いから住む」「人気だから住む」という単純な判断ではありません。時間価値、生活利便性、街との相性、将来設計まで含めた総合的な評価へと変化しています。

まとめ

今回の調査から見えてきたのは、「住む場所は家賃で決まる」という従来の常識が少しずつ変化していることです。若手社会人にとって、いま最も希少な資源はお金ではなく「時間」なのかもしれません。都内では時間価値、神奈川では住環境、埼玉ではバランス、千葉では広さや生活コストなど、エリアによって重視する価値は異なります。また、所得やライフステージによっても住まい選びの基準は変化します。

賃貸選びの本質は、「いくら払うか」ではなく、「どのような暮らしを実現したいか」にあります。

データを通して見えてきたのは、住まいが単なる居住空間ではなく、自分らしいライフスタイルを実現するための選択肢になっているという事実でした。

セレコーポレーションは東京圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)で若者向け賃貸住宅を提供しています。定期的な調査を通じて住まいへの価値観の変化を把握し、魅力的な空間づくりとサービス向上に取り組みながら、「未来を担う若者に最高の笑顔と感動を届け続ける」ことを目指しています。

※図1~5:2026年7月16日実施、独自インターネット調査、n=800、1都3県の賃貸に住む25~35歳の未婚の男女

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