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若者のサブスク生活の実態とは?便利さの中で気を付けたいこと

皆さまは、サブスクリプション(サブスク)を利用されていますか。インターネットやSNS、スマートフォンの普及によって、今では時間や場所を問わず、さまざまなサービスを楽しめるようになりました。たとえば映画の楽しみ方ひとつをとっても、映画館やTVでの視聴、ビデオやDVDの購入・レンタル、そして動画配信サービスへと、時代とともに選択肢が広がってきました。新作は映画館でしか見られないことも多い一方で、それ以外の映画やTV番組は、自分の見たいタイミングで楽しめるようになっています。こうした変化によって、タイムパフォーマンス(タイパ)が高まったのは確かでしょう。若者がタイパを重視していることは過去の記事でも度々触れてきましたが、今回はその背景のひとつであるサブスクについて、あらためて考えてみたいと思います。

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サブスクリプション市場の普及と背景

サブスクと聞くと、まず動画や音楽の配信サービスを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。現在のような定額制の動画配信サービスの先駆けとしては、2011年に始まった「Hulu」が挙げられますが、広く知られるようになったのは、2015年9月に「Netflix」と「Amazonプライム・ビデオ」がサービスを始めた頃だといわれています。ちょうどその頃、TVのリモコンに動画配信サービスの専用ボタン(ダイレクトボタン)が搭載されるようになり、普及や認知の広がりを後押ししました。

出典|日経ビジネス「VODはなぜ日本で10年くすぶったのか 活性化のきっかけはコロナ禍」(2023/9/22)

では、サブスクリプション(定額サービス)の始まりはいつなのでしょうか。起源は17世紀頃の新聞だといわれています。これは、必要なときにその都度購入するのではなく、継続して情報を受け取れる状態に対して料金を支払う仕組みです。近年は減ってきましたが、牛乳配達や学習教材の定期配送も、同じ考え方に近いものといえるでしょう。この仕組みは、長くお客さまとつながるうえで有効だったと考えられています。

現在のような形で広がった背景には、2010年代に進んだソフトウェアのクラウド化があるといわれています。かつては高額なパッケージ製品だったAdobeやMicrosoft OfficeなどがSaaSへ移行し、購入しなくても月額で利用できるようになりました。その結果、利用者は初期費用を抑えながら、気軽に試せるようになりました。文頭で触れたNetflixやApple Musicなどの動画・音楽配信も同様で、一定額で楽しめるこの仕組みは、世代を問わず広がっていきました。

(図1)定額制サブスクの利用状況 年齢別TOP3

出典|LINE「「定額制サブスク」利用率は全体で6割弱!毎月の支払金額は「500円~2,000円未満」が中心 : LINEリサーチ調査レポート|リサーチノート」(2025/11/17)

今ではその対象もさらに広がり、デジタルコンテンツにとどまらず、家具や家電、自動車、飲食、衣服など、日常に身近なさまざまな分野にサブスクが広がっています。

Z世代における消費判断の基準

Z世代の価値観や消費行動には、「自己表現」と「多様性の尊重」を大切にする姿勢が見られます。なかでも、効率を現実的に捉える傾向が強く、判断の軸には「タイパ・コスパ」といった効率性に加え、「共感できるリアルな声」や「倫理的に納得できるか」といった視点もあります。たとえば、動画を倍速で視聴して短時間で内容を把握する行動は、その表れのひとつといえるでしょう。また口コミについても、既存メディアからの一方的な情報より、利用者の率直な声、とくにインフルエンサーの発信を重視する傾向があるとされています。

(図2)他の世代との比較

出典|株式会社Agriture「Z世代とは?年齢・特徴・消費行動とサステナブル志向を他世代との比較 」(2026/4/21)

その一方で、実際の消費行動は意外と堅実です。単に安いかどうかだけではなく、その価格に納得できるかを重視し、インフルエンサーの発信以上に、同じ趣味や価値観を持つコミュニティの声を参考にする傾向があります。また、優先順位はやや下がるものの、多様性への配慮や企業の姿勢も判断材料のひとつになっています。

こうした背景には、経済不況の中で育ったことによる、現実的で慎重な一面があると考えられます。無駄な出費を避けたいという意識が強く、「失敗したくない」という思いから、効率よく情報を集め、価値観の近い人の意見を参考にしながら判断する傾向があります。そして、迷ったときには、その判断を後押しするものとして倫理観も重視されます。こうした点が、Z世代の価値観や消費基準を形づくっているのかもしれません。

価値観の変化は、なぜ起きているのか

価値観の変化を考えるうえで、訪日外国人の行動の変化はよく取り上げられます。「モノ消費(買い物)」から「コト消費・体験型観光」へと移ってきた背景には、ニーズの多様化に加え、SNSによる情報収集が一般的になったことがあるといわれています。買い物はネットショッピングで現地に行かなくてもでき、観光も動画やVRで疑似体験できるようになりました。そうした中で、どこへ行くか、何を買うか以上に、何をするか、どのような体験ができるかが重視されるようになっています。「所有から体験へ」という流れは、モノが満たされた現代において、その先にある「思い出」や「感情」、「自分らしさ」に価値が置かれるようになってきたことを表しているのかもしれません。

では、今の若者はどうなのでしょうか。

若者は、育ってきた社会背景や経済的な事情から、観光客とまったく同じように行動するわけではありません。ただ、モノや情報があふれ、コモディティ化が進む中で、SNSの普及によって「共感」を重視する傾向は強まっています。体験を写真や動画で共有し、互いに共感し合う文化が広がったことで、単にモノを持つことよりも、「その場所に行った」「その時間を過ごした」といった体験そのものが、SNS時代の自己表現のひとつとなり、価値観の基準にもなっています。さらに、ミニマリズムの広がりや価値観の多様化によって、心の豊かさや「自分らしさ」を大切にする人が増えてきたことも、その背景にあると考えられます。

販売手法(ビジネスモデル)の移り変わり

インターネットやSNSの普及によって、顧客の購買行動は以前よりも複雑になってきています。モノを売る「売り手市場」から、顧客のニーズに寄り添う「顧客中心(カスタマーセントリック)」へと考え方が移り、デジタルとリアルを組み合わせた手法の重要性も高まっています。顧客との接点は実店舗だけではなく、ECサイトやSNS、フリマアプリなどへと広がり、商品を検討・購入するチャネルは増え続けています。

競争相手が多い中では、まず選ばれること、そして気付いてもらうことが大切です。そのため、いきなり購入につなげるのではなく、まずは手に取ってもらう、試してもらう、そして継続して利用してもらうことが鍵になります。商品やサービスでは、「試供品」や「お試し価格」といった方法が一般的で、最近は少なくなったものの、「実演販売」もそのひとつでした。こうした手法には、お礼の法則(何かをしてもらったからお返ししたいという心理)を活かす側面があり、実際に体験してもらうことで購入やリピートにつなげるねらいがあります。

ECサイトやSNSでは、口コミを促す販売手法や、ツァイガルニク効果を活用した方法が多く見られます。前述のとおり、口コミは購買判断に大きく影響するため、「口コミ投稿で特典進呈」といった施策もよく用いられています。無料漫画や動画配信サービスでも、「〇話まで無料」「〇日間無料」など、途中まで無料で提供することで続きが気になり、結果として課金や追加オプションの利用につながることがあります。ただし、こうした仕組みを継続するには、それを支えられる事業モデルであることが前提です。単に有料であることが問題なのではなく、支払う対価に見合う価値があるかどうかが大切だといえるでしょう。

若者(Z世代)とサブスクの親和性

情報を得る手段が多様化したことで、消費者は事前にWeb上のレビューや比較サイトから自由に情報を集められるようになり、企業からの一方的な情報発信の影響は以前ほど強くなくなりました。こうした変化によって、個人の価値観やライフスタイルに合った商品・サービスが求められるようになっています。サブスクリプションは、モノを「所有」するよりも「利用」することに価値を見いだす消費者のニーズと、定期購入やサービス利用型(SaaSなど)の仕組みを活かしたい提供側のニーズが重なったことで、定着していったと考えられます。

とくに動画や音楽配信の定額サービスは、一定額で多くのコンテンツにすぐアクセスできるため、時間を効率よく使いたい若者の価値観と相性が良いといえます。CDやDVDを高額で「所有」するのではなく、月額料金で気軽に試せるため、収入が限られる若者でも始めやすい点が特徴です。

参考サイト|ガクセイ協賛「動画配信サービスの利用率・普及率・利用者数を解説!シェア1位は?」(2025/3/10)

その一方で、サブスクが3〜4件と増えてくると、毎月の固定費がかさみやすくなります。また、クレジット決済が中心のため、使っていないサービスにも気付かないまま料金を払い続けてしまうことがあります。活用する際には、「本当に必要なサービスか」を定期的に見直し、複数のサービスを使い分けたり、優待などを活用して申し込み方法を工夫したりすることで、コスパやタイパをより高めることができます。こうした点を踏まえても、若者とサブスクは相性のよい関係にあるといえそうです。

賃貸住宅とサブスクの意外な関係とは

最後に、賃貸住宅とサブスクの関係について考えてみたいと思います。一定額の家賃を支払い、住まいを継続的に利用する仕組みそのものも、見方を変えればサブスクに近い考え方といえるかもしれません。賃貸住宅におけるサブスク的なサービスとしては、以前からある下宿(食事付き賃貸)や入居者専用コインランドリーなどが挙げられます。最近では無料インターネットも一般的になってきましたが、いずれも建物に付随するサービスである点が特徴です。当社管理物件の入居者向け定期アンケートでは、入居中にあるとうれしいサービスとして「更新料無料」「家賃へのポイント付与」「優待サービス」が上位に挙がりました。更新料無料はわかりやすい魅力がありますが、ポイント付与や優待サービスへの期待も大きいことがうかがえます。

(図3)入居中にあったら良いサービス

衣食分野では、大手事業者との連携によってポイントや優待を付けやすい一方で、個人オーナーが多い賃貸住宅では導入が難しいという事情もあります。それでも、一定数の物件を管理する管理会社であれば、優待サービスの提供は入居者満足度の向上や、長く安心して住んでいただくことにつながる可能性があります。また、入居者交流イベントへの支持がきわめて低い点からは、オンラインでのコミュニケーションに慣れた世代ならではの特徴もうかがえます。

セレコーポレーションでは、ゲスト(入居者)向けアプリに優待サービスを用意しています。また、My Style vintageでは、ウェルカムグッズとしてレジリエンスグッズをお渡ししています。これからの賃貸選びでは、部屋や立地といった条件に加えて、暮らしの中でどのような特典や心地よさが得られるかも、ひとつの判断基準になっていくのかもしれません。

参考文献

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