若者スタイル研究室
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なぜ消えた?若者の「選択から漏れた」家電リスト
ひとり暮らしを始めるとき、多くの人が胸を躍らせる一方で、不安も感じるものです。新生活への期待、親元を離れる寂しさ、新しい人間関係への楽しみなど、その心境はさまざまでしょう。
実家での暮らしは、自分の部屋を除けば家族と共有する空間が中心です。住まいの立地や沿線、リビングや水回りの設備も、基本的には親が整えた環境の中で生活しています。一方、ひとり暮らしでは「住む場所」だけではなく、「何を持ち、何を持たないか」も自分自身で選択することになります。
前回の記事では「住まい選び」に焦点を当てましたが、今回は若者の生活を支える「家電」に注目します。2026年7月に実施した独自調査をもとに、ひとり暮らしの若者たちがどのような家電を選び、どのような家電を選ばなくなったのかを読み解いていきます。
調査対象は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県に住む25~35歳の未婚男女800名。さまざまな角度から分析を進めていきます。
目次
若者の選択から漏れた家電トップ3
まずは、「実家にはあるが、ひとり暮らしでは持たない家電」に注目します。
実家と現在の住まいにある家電を比較し、「現在の住まいにある家電数 ÷ 実家にある家電数 ×100」で算出した選択率をランキング化しました。
No.1 固定電話
若者が最も選択しなくなった家電は、圧倒的な差で固定電話でした。
実家に固定電話があると回答した人は373人でしたが、現在の住まいにあると回答した人はわずか14人。選択率は3.75%です。
スマートフォンが生活インフラとなった現在、この結果はある意味で予想どおりと言えるでしょう。
さらに注目すべきは、回答者800人のうち53.3%が「実家にも固定電話がない」と回答している点です。若者自身が持たないだけでなく、そもそも家庭から固定電話が姿を消しつつあることがうかがえます。
現在も固定電話を所有している14人については、性別や年代に大きな偏りは見られませんでした。これは個人の属性よりも、社会全体の通信環境の変化による影響が大きいと考えられます。
No.2 プリンター
意外な結果だったのがプリンターです。
実家にあると回答した人は305人、現在の住まいにある人は80人で、選択率は26.22%でした。
デジタルネイティブ世代はIT機器との親和性が高いイメージがありますが、だからこそ「印刷する必要がない」と考える人が増えているのかもしれません。
資料や写真はスマートフォンやPCで閲覧し、紙に出力する機会は限定的です。必要な場合もコンビニのマルチコピー機を利用できるため、自宅でプリンターを維持する必要性が低下しています。
インク交換や故障対応といった手間を考えれば、「必要なときだけ使う」という考え方は、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する若者世代らしい選択と言えるでしょう。
No.3 食器洗浄機
3位は食器洗浄機(食洗機)でした。
実家にあると回答した人は173人に対し、現在の住まいにある人は47人。選択率は27.16%となっています。
食洗機は家事負担を軽減する代表的なタイパ家電ですが、ひとり暮らし向け賃貸住宅では導入が進んでいません。特に単身者向け物件のコンパクトなキッチンでは、ビルトインタイプを設置するスペースを確保することが難しいのが現状です。
そのため、現在利用している人の多くは据え置き型の食洗機を導入していると考えられます。 利用者の属性を見ると、20代・30代の男性が比較的多い傾向が見られました。まだサンプル数は少ないものの、「家事を効率化したい」というニーズの高まりを示している可能性があります。
なお、4位は電気ポット、5位はオーブントースターでした。
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ニーズの変化で選ばれなくなった家電3選
今回の調査では、若者の家電選びにおいて「コスパ」と「タイパ」が大きなキーワードであることが見えてきました。
ここでは、用途が近い家電同士を比較し、ひとり暮らしでどちらが選ばれているのかを見ていきます。
No.1 電気ポット vs 電気ケトル

電気ポットの選択率は41.12%。一方で電気ケトルは126.31%でした。
その差は85.19ポイントにもなります。
電気ポットは「保温」を前提とした家電ですが、電気ケトルは「必要な分だけ素早く沸かす」ことに特化しています。
ひとり暮らしでは大量のお湯を常備する必要がなく、必要なときに必要な分だけ使える電気ケトルの方が合理的です。購入費用や電気代も抑えられるため、コスパ・タイパの両面で支持されていると考えられます。
No.2 オーブントースター vs 電子レンジ

オーブントースターの選択率は54.89%、電子レンジは100.35%でした。
差は45.47ポイントです。
トースターには焼く機能がありますが、近年はオーブン機能付き電子レンジが手ごろな価格で購入できるようになっています。
さらに電子レンジ専用の調理器具も充実しており、「温める」「焼く」「簡単な調理をする」といった機能を一台でカバーできます。
限られたスペースで暮らすひとり暮らしにとって、電子レンジはスペースパフォーマンスにも優れた家電と言えるでしょう。
No.3 掃除機 vs ロボット掃除機

掃除機の選択率は85.41%、ロボット掃除機は92.16%でした。
差は6.75ポイントと大きくはありませんが、タイパを重視する若者らしい結果です。
近年はロボット掃除機の価格が下がり、1万円台で購入できるモデルも増えています。掃除の負担を減らせることから、ひとり暮らし世帯にも徐々に浸透しているようです。 今後さらに価格が下がり性能が向上すれば、選択率が100%を超える可能性も十分にあるでしょう。
今回の調査で選択率が100%を超えた家電は、「電子レンジ」「電気ケトル」「洗濯機」「プロジェクター式テレビ」の4品目でした。
特に電気ケトルやプロジェクター式テレビは、若者の価値観やライフスタイルとの親和性の高さを感じさせる結果となりました。
買ったものの、結局使わない家電トップ3
最後に、「持っているがほとんど使っていない家電」を見ていきます。

No.1 アイロン・衣類スチーマー
低稼働率は42.97%でした。
理由としては、
- シワになりにくい衣類が増えた
- スーツやワイシャツを着る機会が減った
- 手間がかかる
といった点が考えられます。
新生活のスタート時には「きちんとした暮らしをしたい」という思いから購入しても、実際には習慣化できないケースが少なくないようです。
No.2 プロジェクター式テレビ
低稼働率は35.90%でした。
購入当初は憧れのアイテムでも、
- 映す壁が確保できない
- 設置や調整が面倒
- 結局スマホで視聴する
などの理由で利用頻度が下がるケースが考えられます。
また、賃貸住宅では大画面・大音量で楽しみにくい環境も影響しているかもしれません。
No.3 固定電話
固定電話の低稼働率は28.57%でした。
サンプル数が少ないため参考値ではありますが、所有していても利用頻度は高くありません。
特にひとり暮らしでは回線費用をひとりで負担することになるため、コスト面でのメリットは乏しいと言えます。
一部では個人事業や法人利用のために設置しているケースも考えられますが、一般的な生活用途としては役割を終えつつあるのかもしれません。
若者の部屋からテレビは消えたのか?

近年、「若者のテレビ離れ」という言葉を耳にする機会が増えました。では実際のデータはどうなのでしょうか。
今回の調査では、実家にテレビがあると回答した人は548人(68.5%)、現在の住まいにテレビがある人は440人(55.0%)でした。
つまり、回答者の45.0%がテレビを置かない生活を送っていることになります。
また、実家にテレビがあった人のうち約2割が、ひとり暮らしではテレビを持たない選択をしていました。
もちろん、これは首都圏の賃貸住宅に暮らす若年層に限定した調査結果です。しかし、若者のライフスタイルの変化は将来の社会を映す鏡でもあります。 動画配信サービスやSNSが当たり前になった今、テレビは「必需品」から「選択肢のひとつ」へと変化しつつあるのかもしれません。
まとめ

今回の調査から見えてきたのは、若者の家電選びが「必要性」と「効率性」を重視する方向へシフトしていることです。
保有率の高い家電は、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、テレビなど生活に直結するものが中心でした。一方で、固定電話やプリンター、電気ポットなどは選択肢から外れつつあります。
また、電気ケトルやロボット掃除機に代表されるように、タイパやコスパに優れた製品への支持も明確になりました。
限られた空間と予算の中で暮らすひとり暮らしの若者たちは、「あった方がいい」ではなく、「本当に必要か」という基準で家電を選んでいます。
家電の変化は、単なるモノ選びではありません。そこには、現代の若者が求める暮らし方や価値観の変化が色濃く表れていると言えるでしょう。
※図1~2:2026年7月16日実施、独自インターネット調査、n=800、1都3県の賃貸に住む25~35歳の未婚の男女