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趣味(インドア)を快適に行うためのインターネット環境は
目次
変化する「自宅」の役割:生活拠点から多機能空間へ
インターネットの進化や、新型コロナウイルスの流行を経て、人々の生活様式は大きく変化しました。
特に若者世代において、「家」は単に寝食をする場所ではなく、「働く場所」「学ぶ場所」、そして何よりも「趣味を楽しむ場所」へとその役割を拡大しています。
新型コロナウイルス発生後にリモートワークを取り入れる会社が一気に増え、5類感染症移行後は本格的にオフィス回帰を進めている会社もありますが、完全にはなくならずハイブリッドワークを継続している会社も見られます。
自宅が「学ぶ場所」となっていることに関しては、新型コロナウイルスの発生直後は、外出自粛だけではなく、イベント中止・買い控えなどにより売上減となり勤務日数制限や残業禁止の会社もありました。そこで、自宅で資格取得という風潮がありました。新型コロナウイルスの5類感染症移行後もリスキリングは年代に関わらず、キャリアアップのために自ら進んで実行する時代となっています。
趣味においては、新型コロナウイルス発生後の外出を控えている期間中に、他人と接しないで楽しむことができる、自宅での趣味に偏る傾向となりました。その結果、動画や映画・ドラマのコンテンツが爆発的に増加し、それに伴い視聴者も増加しました。それが、現在でも趣味の一つとして残っている方もいるようです。

以前よりも自宅で可能なことが広がり、新型コロナウイルス発生以前の自宅で過ごす時間と比べて自宅で過ごす時間が増えたからこそ、自宅で快適に過ごす時間が大切になってきています。
そこで、それぞれの趣味(インドア)に適した賃貸住宅の設備や設計、環境を挙げてみます。そのために、まずは東京の賃貸住宅に住む25~35歳の若者はどのようなインドアの趣味を持っているかを尋ねました。
趣味(インドア)の変容
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東京都の賃貸住宅に住む25歳から35歳の603名に趣味についてのアンケートをしました。
インドアの趣味トップ3は、いずれもインターネットまたはデジタルガジェットの利用がメインの趣味ということになります。
今回注目したいのは、新型コロナウイルス発生以降、最近の流行や新しく台頭してきているのは、「推し活」「投資」「副業」です。
「推し活」は、以前からアイドルやアニメキャラクターなどのファン活動としては存在しましたが、「推し活」という新たな名称で、ファンの対象として「推し」、といったように、推しグッズを飾る特定のスペースを「祭壇」、それぞれの行動や空間に固有の名称や定義が与えられ、新しい文化のカテゴリーとして確立・浸透しました。
「投資」は昔からあるものの、NISAやiDeCoという政府の税金優遇制度と企業型確定拠出年金、株価が低迷した1990年~2009年の失われた20 年からの脱却により、これまで西欧に比べ株や投資信託などに消極的だった日本人も「投資」に参加する人が増え、それが趣味になっている方もいるようです。最近は、政府や企業の制度と、株価上昇で投資に注目している若者も増えているようです。
「副業」は、アプリで不要品販売や、単発で税金がかからない範囲での簡単なクラウドソーシング・プラットフォームでの業務請負など趣味の範囲を超えないものはありました。
しかし、2017年の働き方改革の一環として2018年に厚生労働省が主導して企業に副業を推奨、「モデル就業規則」(多くの企業が就業規則を作る際のひな形)から、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という副業を禁止する規定が削除されました。
代わりに、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」という、副業・兼業を認める規定が新設されました。そのことにより、趣味を脱却した様々な副業の選択肢が増えました。副業を仕事として趣味には含めない方も多く存在すると思いますが、7.8%の方が「副業」を趣味としています。
つまり、「推し活」は若者発の流行、「投資・副業」は政府の政策や景気などの情勢が反映、「動画配信」「映画・ドラマ配信」はテクノロジーの進化と新型コロナウイルスでの爆発的増加という背景があり台頭してきた趣味です。
また、昔から存在している趣味であっても、今やほとんどの趣味がインターネットに関係しているという特徴もあります。
インターネットの普及によりネットショッピングが当たり前になってきたことにより、多くの趣味でも宅配ボックスが必須となっています。
さまざまな趣味にインターネット・デジタル端末と宅配ボックスが深く関わる

音楽鑑賞・読書・絵画・イラスト・手芸・クラフト・DIYといったような趣味はインターネット・デジタル端末を必ずしも利用しなくても楽しめますが、インターネット・デジタル端末を使わないかというと、どれも利用する可能性があり、もはやほとんどの趣味にインターネット・デジタル端末が関わっています。関わり方は、次章で見てみましょう。
また、1人暮らしや2人暮らしの場合、荷物の受け取りは切実な問題です。不在時や入浴中などはもちろんのこと、趣味に没頭している時間は、「インターホンの音が聞こえない」「今は絶対に出られない」という状況が発生します。
趣味に関連した道具や材料をインターネットで注文することも多く、日時指定配達はあるものの、宅配ボックスがあると便利なのはどの趣味も共通していえることです。
賃貸住宅を検討されている方は各趣味でインターネット・デジタル端末の利用をふまえた、賃貸住宅のチェックポイントをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
インターネット・デジタル端末の利用場面

各趣味でのインターネット・デジタル端末利用について、例えば「推し活」では、推しの音楽や動画をリメイクした動画をSNSで投稿、チケット購入は遅いインターネットネット回線では購入できない事態が発生、数秒で売り切れるなど激しいチケット争奪戦が発生することもあります。
読書はインターネットでデジタル書籍をダウンロードしてスマホやタブレットで読むという方や、ゲームもSDカードなどがまだ存在するものの、インターネットからダウンロードする方が増えています。
インターネットが存在しない時代から趣味として定番の、「料理・お菓子作り」「絵画・イラスト」「手芸・クラフト・DIY」でも、インターネットで方法を学び、他の作品を参考にする、道具や材料はインターネットで購入することもあり、デジタル絵画やデジタルイラストを液晶タブレット(液タブ)やタブレット、スマホ、PCで描く方も多く存在します。創作後は、作品の発信や保存を、インターネット・デジタルを使って行うことも多くの方が行っています。
「インターネット・デジタル端末の活用」と「住まい」に関しては二つのことが言えます。
一つ目は、賃貸住宅において「高速かつ安定したインターネット環境」が、もはや「あれば便利」な設備ではなく、「生活に必須のインフラ」であることを示しています。賃貸住宅も、インターネットに関するニーズに合致した設備であると、快適に趣味を楽しむことができます。
二つ目は、デジタル端末や機器の利用により、音楽であればCDなどのソフトや音響機器、読書であれば本がスマホやタブレット、PCの中に保存され、物理的に住まいの中にしまうスペースが必要なくなり、空間にゆとりが生まれます。もちろん、これまでも、不要になったら売る・捨てるという方法で持ち物を最小限にすることが可能でしたが、特に処分するのが苦手な方はモノをため込みがちで結果的に収集がつかなくなる状態につながっていたので、部屋に物が溢れるのを防止することができます。
賃貸住宅を探すときの、インターネットを利用趣味でのチェック項目

「生活に必須のインフラ」であるインターネットですが、趣味やライフスタイルによって、インターネット環境や部屋に求められるスペックは全く異なります。
使い方を3つに分け、それぞれに応じたチェックポイントを見てみましょう。必要に応じて、不動産会社に聞いてみると良いです。
1.シビアな通信品質が必要 / 利用負荷 大

対象:オンラインゲーム(シューティングゲーム・フレームレート・格闘)、投資(デイトレード・FX)
一瞬の遅延(ラグ)や回線切断が致命的になるグループです。ここでは「最大速度」よりも「応答速度(Ping値)」と「安定性」が最優先です。
<必要な通信速度(目安)>
- 実測値: 下り・上りともに100Mbps以上あれば十分です
- Ping値(重要): 15ms以下が理想(数値が低いほど優秀
<部屋・環境のチェックポイント>
- アンペア数(電力容量):
ハイスペックPC、複数モニター、エアコン、電子レンジを同時に使うとブレーカーが落ちる可能性があります。
一人暮らしでは40A、二人暮らしでは50Aがあると良いので、契約変更が可能かを確認しましょう。
2.大量のデータ転送・没入感が必要 / 利用負荷 中程度

対象:映画・ドラマ鑑賞(4K)、動画鑑賞
高画質な映像を止まらずに見るためには「下り速度(ダウンロード)」の太さが重要です。
<必要な通信速度(目安)>
- 実測値: 4K動画の快適な視聴には常時25Mbps~50Mbpsが必要ですが、余裕を持って80Mbps以上 出ていると安心です。
<部屋・環境のチェックポイント>
- 壁の面積と素材:
プロジェクターを使いたい場合、投影できる「白い壁」のスペースがあるか。 - 大型テレビを置く場合、対面のソファーとの距離(視聴距離):
- 4Kテレビの場合、画面の高さの約1.5倍が臨場感を感じやすいと言われています。
例)55インチの場合は、距離は約1.0m - フルHD(2K)テレビの場合、画面の高さの約3倍が推奨されています。
例)55インチの場合は、距離は約2.0m
- 4Kテレビの場合、画面の高さの約1.5倍が臨場感を感じやすいと言われています。
- 昼間でも暗くできる「シャッター雨戸」や上部の光漏れが防げる「カーテンボックス」があるかもポイントです。
3.データアップロード / 利用負荷 中程度

対象:デジタル絵画・イラスト、作品のアップロード、調べものなどにインターネットを使用する場合
作った作品のクラウドへの保存や、SNSや納品先へのアップロードのため、「上り速度(アップロード)」が重要になります。
<必要な通信速度(目安)>
- 実測値: 下りは標準的で良いですが、上り(Upload)が30Mbps以上(大容量ファイルのバックアップなら100Mbps以上)安定して出る環境が望ましいです。
<部屋・環境のチェックポイント>
- コンセントの数と位置:
PC、液タブ、モニター、照明、スマホ充電など、最低でもデスク周りに4口以上必要になります。コンセントが足りないとタコ足配線だらけになります。 - デスクの奥行きが確保できるか:
液タブやキーボードを置くため、奥行き60cm~70cm以上のデスクが置けるスペース(柱の出っ張りがないか)を確認しましょう。
賃貸住宅の内覧時に、自分の趣味に合わせたインターネット環境をチェック

東京に住む若者の趣味から、住まいに必須の「インターネット」のチェックポイントを挙げてみました。
賃貸住宅を選ぶ際には、立地や家賃、間取り、デザイン、使い勝手をチェックされるかと思いますが、なかなか自分の趣味を考えてチェックすることは少ないのではないでしょうか?
インターネットはほとんどの趣味に関連するものです。賃貸住宅を選ぶ際に、ご自分の趣味に合わせたインターネットに関してのポイントもチェックもしてみましょう。入居後に困ったということを少しでも減らしていただき、室内で過ごす趣味の時間を快適にできると良いですね。
※図1:2025年7月実施、独自インターネット調査、n=603、東京都の賃貸住宅に1人暮らし又は2人暮らしの25歳~35歳の若者