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住まいは「ずっと賃貸派?」「いつかは所有派?」-賃貸住宅派が所有派を上回る

賃貸派 vs 所有派:若者の住まい選びに対する考え方

賃貸派か、所有派か、どちらなのかという話をしたことはありますか?
分譲住宅の価格も、家賃も、物価上昇などの理由から値上がりしています。所有派の方でも、今は購入を控えておこうという方も多いのではないでしょうか。

そこで、若者スタイル研究室は、東京の賃貸住宅にひとり暮らしをする25~35歳の若者に住宅所有と賃貸住宅に関する意識を探ってみました。

すると、昨今のモノを持たない風潮のためか、長く賃貸住宅を選択する方が、持ち家志向の方より多いことがわかりました。

賃貸住宅派が所有派を上回る

(図1)賃貸派? 所有派?

一人暮らしの若者は、どのような家電を持っているのでしょうか?20~39歳の首都圏在住の賃貸住宅に住んでいる一人暮らしの男女1000名を対象に行った独自のインターネット調査(2023年)で、キッチンにある主要な家電の所有率を調べてみました。若者は賃貸派なのか、所有派なのか、質問してみました。

「ずっと賃貸でいい」「当分賃貸で構わない」・・・49%
「いつかは所有したい」「早く所有したい」・・・34%
「まだわからない」・・・17%

「まだわからない」を除くと、49%対34%で当面賃貸住宅、またはずっと賃貸住宅でいいという若者が多い結果となりました。(図1)

「モノを持たない」風潮の表れ

調査の対象年齢が25歳からなので、まだ決めかねている方もいることは考えられます。それでも現在賃貸住宅に住んでいる方の過半数が住宅の所有を考えているわけではないという結果に時代の変化を感じます。

それを考えると、今は、「シェア(シェアリングエコノミー)」や「サブスク(サブスクリプション)」「レンタル」など「非所有」の商品・サービスが以前より増加していて、「モノを持たない」というライフスタイルが徐々に普及していることが影響している気がしました。

昔は所有にステータスを感じていた車も、今やカーシェアやサブスクが都市部では一般的な選択肢となっています。そして、購入するのが当たり前だと従来考えられていた家具も近年はレンタルがあり、服やバック、アクセサリーまでサブスクのサービスが出始めています。物を所有していないので部屋は必ずしも広くなくていい、新しいデザインにその都度変えられる、気分によってすぐに変えられる、最初に支払う負担が少なく失敗しても損失が少ない、気に入らなければ返却するなど、考えてみるとメリットが多いことがわかります。

つまり、「モノを持たない」ことを良しとして選択する、それと同じような感覚をさらに若者は「住まい」についても「所有」にこだわらず「借りる」ということで何ら問題ない、またはあえて当分またはずっと「賃貸」を選択するという傾向に繋がっているのではないでしょうか。

ホテル暮らしの人たち

モノと住宅は全く違っていて、どうしてモノに対しての意識が住宅に当てはめることができるのか、と思われる方も中にはいらっしゃるかもしれません。

そこで、一つの例として、「ホテル暮らし」を挙げさせていただきます。「ホテル暮らし」は「モノを持たない暮らし」の究極形です。これまでも資金がある著名人や富裕層はホテル暮らしをしている方もいました。しかし最近の物価上昇による家賃や光熱費・日用品などの値上がりや、リモートで仕事ができるという環境の中、ホテル暮らしをする層が広がり若い経営層やフリーランスへも波及しているというのです。これまででしたら、コスパやタイパなどと考えずに、よい立地により広い敷地で豪華な家を建て、そこをメインの住宅としている方が多い傾向にありました。所有するモノの中で暮らすのではなく、ほとんどすべてのモノが備わっている借り物の住まいをメインの拠点としている方が富裕層以外で出てきているのは最近の傾向ではないでしょうか。

「モノを持たない」で暮らすことで、コスパ・タイパ・自由を求めて暮らす人々の究極形として、ホテル暮らしの他、シェアハウス、キャンピングカーで暮らす、船で暮らすなど様々な「住まい」の形態が出てきています。

参考文献|
JAPAN Forward:気分もリッチに仕事に集中 帝国などホテルが相次ぎ長期滞在プラン
goodroomサブスくらし:ホテルのサブスクで「ホテル暮らし」始めませんか?
LIFULL HOME’S PRESS:家を持たない「ホテル暮らし」の体験談。必要な費用やおすすめサービスを紹介
日本経済新聞:ホテル暮らしに割安感 生活費上昇で、月10万サブスクも

モノを持たないことのメリット

改めて、モノを持たない「非所有」のメリットで、住宅にも当てはまるメリットを挙げてみます。
「モノ」の非所有のメリットが「住まい」にも当てはまるのであれば、「モノ」に対しての意識が「賃貸住宅」への意識とリンクするのも納得していただけるはずです。

【経済的なメリット】

  • 初期費用と維持費の削減: 製品を新しく購入する必要がなくなるため、初期費用を大幅に抑えられます。また、メンテナンス費用や修理費、保管場所にかかる費用なども不要になります。
    (住宅購入は一度にかかる初期費用や一時金がかかります。賃貸住宅は同等の住宅購入に比べ初期費用や一時金を抑えられるという点で住宅に当てはまります。)
  • 無駄な買い物を減らせる: 一時的なニーズのために購入し、結局使わなくなるという無駄を減らせます。必要な時に必要なものを利用することで、賢い消費が可能です。(賃貸住宅は同居する人数の増減による広さや間取りの変更が容易という経済的メリットがあります。そのため住宅にも当てはまります。)

【精神的・心理的なメリット】

  • 心のゆとり: モノを所有することによるプレッシャーや責任から解放されます。費用がかかることを考えたり、管理の手間が減ったりすることなどで、心にゆとりが生まれます。(賃貸住宅は賃貸管理会社やオーナーさまが住宅設備の管理や交換を行うため、わずらわしさがありません。精神的・心理的なメリットは賃貸住宅にも当てはまります。)

【利便性のメリット】

  • 多様な選択肢:必要に応じて様々な種類のモノやサービスを利用できるため、特定のモノに縛られることなく、多様な選択肢を享受できます。
    (賃貸住宅の場合、間取り、広さ、設備、環境を家族構成やその他の必要に応じた住み替えや、シェアハウスなど異なる住まいの選択肢をとることが住宅所有に比べて容易にできます。多様な選択肢を選びやすいことは賃貸住宅にも当てはまります。)
  • 最新のモノを利用できる: サブスクリプションサービスでは、常に最新のモデルやバージョンを利用できることが多いです。
    (賃貸住宅であれば、新しい設備を備える住まい、新しいデザインの住まいに、住宅を所有するよりも容易にできます。最新のものを利用できるというメリットは、賃貸住宅にも当てはまります。)

多くの点で、「サブスク」や「シェア」「レンタル」を利用するメリットが、「住まい」について当てはまりました。

これらのメリットを考えると、「モノを持たない」という選択は、経済的、精神的、利便性の観点から、現代のライフスタイルに合致しているといえます。

つまり、現在の若者にとっては「モノを持つ」ということが重要視されておらず、上記のメリットにより「サブスク」や「シェア」などを支持しており、住居も同じ感覚でとらえるように変容してきてもおかしくはありません。

賃貸住宅派を選択する理由

それではその49%の賃貸派の若者が賃貸住宅を選ぶ理由は何でしょうか。「賃貸住宅を選ぶ理由」という設問で質問してみました。

グラフのように、主に「金銭面の理由」が赤、「金銭面以外の理由」が青と、どちらも万遍なく分散して該当すると答えています。

(図2)賃貸派の理由

費用(金銭面)については、当然「所有」のハードルになり得るにしろ、ブルーで色付けされている金銭面以外の理由である「手間軽減」「自由度」「安心感・開放感」という理由も同等の割合であり、「モノを持たないことのメリット」の章で記載したメリットと最近の「非所有」サービスの普及を考慮すると、長期的視点で「リスクを避ける」「手間がかかる面倒なことを避ける」「モノの所有より心の負担を軽くする」というような若者の傾向が窺えます。

持ち家と賃貸住宅の比率

(図3)家計主年齢階層別持ち家率の推移(東京都)

これまでの「持ち家」と「賃貸住宅」の推移は、これまで数十年は全国平均で6割の世帯が「持ち家」に住んでおり、大きな変動はありません。

全世代で見た場合、東京都は持ち家率が最も低く41.3%、次いで大阪府49.4%、神奈川県53.5%となっています。

東京都の世代別にみると、少し古い資料ではありますが、図2のように、持ち家取得年齢が高い(遅い)傾向がみられ、6割の世帯が取得するのは55歳~60歳ごろとなっています。さらに、40代半ばまでの持ち家率は時代が進むにつれ、低くなっています。

都市部は地価が高いこと、賃貸住宅が充実、晩婚化が進んでいるという理由もありますが、先ほどの、最近の「モノを持たない」風潮が「当面賃貸」「ずっと賃貸」志向を後押しすることとなることが想定されます。

参考文献|統計局ホームページ/平成15年住宅・土地統計調査

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※図1~2:2024年2月実施、対象382人、東京在住 25~35歳、一人暮らしの男女、インターネット独自調査
※図3:令和3年3月更新(一部)、東京の住宅事情、住宅・土地統計調査/総務省

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